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庭木を自分で切る前に
― 死亡災害の6割は、この作業で起きています

最終更新:2026年9月5日 / 運営:ミチアカリ制作所
「チェーンソーを買えば、自分でやれるのでは」——1本5,000円〜の見積を見て、そう考える方は少なくありません。実際、細い木なら自分で切れます。問題は、どこから先が「自分でやってはいけない木」なのかです。ここは感覚ではなく、数字と国の規定で線が引けます。

まず、数字を見てください

林業は、日本でもっとも労働災害の多い業種のひとつです。

林業の労働災害による死亡者数は、年間40人前後で推移しています。そして死亡災害の約6割が、チェーンソーによる伐木作業中に起きています(厚生労働省)。

休業4日以上のケガでは、原因として立木等が約3割、チェーンソーが約2割を占めます。

これは、装備を持ち、教育を受け、毎日やっている人たちの数字です。

庭で年に一度チェーンソーを握る人が、それより安全だという理由はありません。

いちばん多い死に方は「切っている最中」ではありません

チェーンソーと聞くと、刃で自分を切る事故を想像します。もちろんそれもありますが、伐木作業で人が亡くなる代表的な原因は別にあります。

倒れてきた木、そして「かかり木」です。

かかり木とは。

切った木が最後まで倒れず、途中で隣の木や電線、屋根に引っかかって止まった状態のことです。

林業・木材製造業労働災害防止協会は、これを伐倒作業の中で最も危険な作業の一つとしています。理由は単純で、いつ落ちてくるか分からないから。そして落ちてくる先には、たいてい外そうとしている自分がいます。

同協会は、かかり木の処理について次の6つを禁止事項として挙げています。

禁止されている方法理由
かかられている木(受け止めている側)を切るかかり木がいつ落ちてくるか分からない
浴びせ倒し(投げ倒し)予期しない方向へ跳ね返る
元玉切り(根元を輪切りにする)切り離した瞬間に落下・滑落する
かかられている木の枝を切る登った作業者が落ちる
肩で担いで外す滑落・転倒する
そのまま放置するあとから通った人に落ちる
この6つは、裏を返せば「素人が真っ先に思いつく方法」がすべて並んでいます。

引っかかったら、下の木を切ればいい。押して落とせばいい。根元を切れば落ちるだろう。担いで動かせばいい。今日は無理だから明日にしよう。——全部、禁止されています。

プロがやっても死ぬから禁止されているのであって、慣れれば大丈夫という話ではありません。

国が引いている線は、思ったより低い位置にあります

仕事としてチェーンソーで木を切る場合、労働安全衛生規則の対象になります。近年の改正で、要求水準ははっきり上がりました。

施行内容
2019年8月1日チェーンソー作業では下肢の切創防止用保護衣(防護ズボン)の着用が義務に
2019年8月1日受け口を作る義務の対象が、胸高直径40cm以上から20cm以上に拡大
2019年8月1日かかり木の速やかな処理を義務化。処理の禁止事項を規定
2020年8月1日木の直径などで分かれていた特別教育の区分を統合
注目してほしいのは「胸高直径20cm」です。

胸の高さ(地上およそ1.2m)で測った幹の直径が20cm。メジャーで幹をぐるっと巻いて約63cmあれば、これに当たります。

庭にある少し古い木なら、たいてい超えています。そしてこの太さは、秦野市の補助金の対象条件とも一致します。市が「危険木」と呼ぶ太さと、国が「受け口を作れ」と義務づける太さが、同じ20cmなのは偶然ではありません。

これらは事業者と労働者に向けた規定なので、自宅の庭木を自分で切る個人に直接かかるものではありません。ただし、国がどこに危険の線を引いたかは、そのまま参考にできます。

「自分でやる」と比べる前に、いくらか知っておく

見積は無料です。金額を知らないまま「たぶん高いから自分で」と決めるより、数字を見てから判断したほうが確実です。補助金を使えば、対象経費の2分の1・上限10万円が戻る可能性もあります。

無料で伐採の見積を依頼する1本5,000円〜・見積後の追加料金なし

秦野市の補助金(上限10万円)の対象確認は → 補助金ページへ

自分で切っていい木・やめたほうがいい木

判断の目安をまとめます。右の列に1つでも当てはまったら、そこで止まってください。

項目自分でも現実的やめたほうがいい
高さ3m未満3m以上/脚立やはしごが要る
幹の太さ胸高直径10cm未満胸高直径20cm以上(幹周り約63cm以上)
倒す方向どちらに倒れても何もない電線・隣地・道路・建物・車のいずれかがある
周囲の木単独で立っている隣に木があり、かかり木になり得る
木の状態健全でまっすぐ傾いている・腐っている・空洞がある
作業する場所平らな地面斜面・足場が悪い・逃げ道がない
「傾いている・腐っている木」は、特に危険です。内部が腐っていると、切ったときに予定と違う方向へ倒れます。受け口も追い口も、木が健全であることを前提にした技術だからです。

そういう木ほど切りたくなるのですが、そういう木ほど自分でやってはいけません。→ 危険な木の見分け方

お金の面でも、自分でやると損をすることがあります

安全の話とは別に、金銭面でも3つ引っかかる点があります。

  1. 秦野市の補助金が使えません──同市の危険木伐採等補助事業は、申請者の条件に「造園業者等の専門事業者に委託すること」を挙げています。自分で切った場合は対象外です。対象経費の2分の1・上限10万円が消えます
  2. 自分がケガをしても、労災は出ません──仕事ではないためです。傷害保険の対象になるかは契約次第で、危険な作業として除外されていることもあります
  3. 隣家や電線を壊した場合──賠償は民法717条・709条の世界です。自分の家の屋根を壊した場合は、そもそも賠償ではなく自費の修理になります
「業者に頼むと高い」と感じたときの比較対象は、伐採費用そのものではありません。補助金で戻る分を引き、失敗したときの修理費と通院を足したものが、本当の比較対象です。→ 伐採費用の相場

切ったあと、その木はどこへ行くのか

意外と見落とされるのがここです。切るのは半日でも、処分は残ります。

秦野市のせん定枝(草木類)の基準はこうです。

・1本の太さ 10センチ以下
・長さ 80センチ以下
・1束の直径 50センチ以内

つまり太さ10センチを超える幹は、この方法では出せません。80センチずつに切り分ける手間も、量が増えると相当なものになります。

また、集積所には一度に多量のごみを出せません。量が多い場合は、草木類の処理業者へ自己搬入(有料)などの対応が必要です。詳しくは秦野市の環境資源対策課(0463-82-4401)へご確認ください。

業者に頼んだ場合、この処分費は見積に含まれているのが普通です。「切る手間」だけを比べると、判断を誤ります。

それでも自分でやるなら

細い木を切る場合の最低限です。

そして、少しでも「これは大きいな」と感じたら、そこが線です。

よくある質問

庭木を自分で切ってもいいですか?
自分の敷地の木を自分で切ること自体は自由です。ただし作業の危険度は木の大きさで急に変わります。林業の死亡災害は年間40人前後で、その約6割がチェーンソーによる伐木作業中に起きています。高さ3m未満・幹が細い・周囲に倒れて当たるものがない、という条件がそろっていないなら、業者に任せたほうが安全です。
「かかり木」とは何ですか?なぜ危険なのですか?
切った木が倒れきらず、隣の木に引っかかって止まった状態です。林業・木材製造業労働災害防止協会は、これを伐倒作業の中で最も危険な作業の一つとしています。いつ落ちてくるか分からないうえ、外そうとする動作そのものが災害につながります。同協会は、かかられている木を伐倒する・浴びせ倒し(投げ倒し)・元玉切り・かかられている木の枝切り・肩で担ぐ・そのまま放置する、の6つを禁止しています。
チェーンソーを使うのに資格は必要ですか?
仕事として行う場合は、労働安全衛生規則により「チェーンソーによる伐木等の業務」の特別教育が必要です。2020年8月1日の改正で、それまで木の直径などで分かれていた区分が統合されました。自宅の庭木を自分で切る場合、この規定が直接かかるわけではありません。ただし国が「この作業は特別な教育が要る」と線を引いている事実は、危険度の目安になります。
自分で切ると、秦野市の補助金は使えますか?
使えません。秦野市の危険木伐採等補助事業は、申請者の条件として「造園業者等の専門事業者に委託すること」を挙げています。自分で切った場合は対象外です。補助率は対象経費の2分の1・上限10万円なので、条件に当たる木であれば、自分でやるより委託したほうが手元の負担が小さくなることもあります。
切った枝や幹は、ごみに出せますか?
秦野市では、せん定枝は草木類として「1本の太さ10センチ以下、長さ80センチ以下、1束の直径50センチ以内」で出すことになっています。つまり太さ10センチを超える幹は、この方法では出せません。また集積所には一度に多量のごみを出せないため、量が多い場合は草木類の処理業者へ自己搬入(有料)などの対応になります。詳しくは環境資源対策課(0463-82-4401)へご確認ください。

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高さ・太さ別の目安と、見積の見方。
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2分の1・上限10万円の条件と順番。
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切る前に、倒れる木かどうかを見る。
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切る前に、もうひとつ確認することがあります。その土地が森林法の対象なら、1本でも市への届出が必要です。2026年4月から危険木の例外もできました。→ 伐採届が必要な木

根拠:厚生労働省「林業の伐木作業における労働災害防止」(死亡者数年間40人前後・死亡災害の約6割がチェーンソーによる伐木作業時・休業4日以上は立木等約3割/チェーンソー約2割)/林業・木材製造業労働災害防止協会「かかり木処理作業の安全」(禁止事項6項目)/労働安全衛生規則の一部改正(2019年8月1日・2020年8月1日施行/下肢の切創防止用保護衣、受け口の対象を胸高直径20cm以上に拡大、かかり木処理の義務化、特別教育の統合)/秦野市「危険木伐採等補助事業」(造園業者等への委託が条件・2分の1・上限10万円)/秦野市「資源とごみの分け方・出し方 品目リスト」(せん定枝:太さ10cm以下・長さ80cm以下・1束の直径50cm以内)/秦野市 環境資源対策課 0463-82-4401

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